She & Him - Stay Awhile
キングス&クイーン / アルノー・デプレシャン 監督
オーメン、「クリスマス・ストーリー」の監督が
目も当てられないくらい痛いヒロインを、しかもこんなに恥ずかしい演出で・・
とショックを受けつつ、冒頭は終始、辛抱。
それが、マチュー・アマルリックが出て来てから、格段におもしろくなる。
いつも目元がトボケてるなあと思っていたが、やはり名優なのかも知れない。
(それから、女医役のカトリーヌ・ドヌーヴの存在感が、必要以上だ。)
作家である父が遺稿に書きのこした実娘への愛憎が、すさまじい。
(この辛辣さこそ、フランス映画の恐ろしさ?)
まるで対照的に、片田舎のイスマエルの両親が、完全なる博愛主義者で、
心底愛らしく、心躍る。
ニンフォマニアック / ラース・フォン・トリアー 監督
朝の渋谷で、フラッと入ったら、妙にヒトがいっぱい入っていて驚いた。
こんな人間がいるのか・・・ということでは
色情狂のヒロイン(ジョー)はもとより、博学紳士(のちに、変態男)セリグマン。
こいつが、同じくらいに曲者。
彼女の告白にいちいち興奮しつつも、そのポイントが悉くズレているのだ。
(さすがに不自然きわまりない。大写しになるアラビア数字にも、半分興ざめ。)
さらには、シャルロット・ゲンズブールがジョーの役柄を育児中に演じた、ということに驚愕。
続きを読むグランド・ブダペスト・ホテル / ウェス・アンダーソン 監督
こんなに登場人物必要ないし、こんなに兄弟がいなくてもいいよな、と思ったりする。
でも、どんな脇役にも同等の愛をふりかけているのがこの監督の特徴で
今回も、当然ながらすべてのキャストが愛おしい。
かつて、ベルボーイだったゼロ。
彼はいまや大富豪にして、GBHを革命政府から買い上げたオーナーであるが
自分のホテルに泊まるときは、いつだってネズミの住処くらいのボロ部屋で眠る。
彼が作家に打ち明ける物語。
私の男 / 熊切和嘉 監督
いいえ、とんでもございません / 倉地久美夫
メンフィス録音の "Washing Machine" を思い起こす、歪んだギターではじまる。
これぞ日本のパンクだと思います。そして、最高のチェンバーロック。
映画「庭にお願い」*1で衝撃をうけた「30,000,000粒ダム」
あの、せき止められていたものが一気になだれ込むようなダイナミズムに
ヴァイオリン、ヴィオラその他が見事に加勢してくる。
Produced by 波多野敦子さん!
「オレ明日メキシコ 一泊ダケ」
椎茸によく似た エリンギ〜〜〜〜
埼玉の奥は どこまでも畑〜〜〜 大仁田厚と鬼が来る
(「エリンギの鬼」)
まちがいなく“変”であり、間違いなく“天才”です。
まさかの小田和正カヴァーまである。名カヴァー。
マリア・ブラウンの結婚 / ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 監督
ようやく観れた。ニュー・ジャーマン・シネマの代表とされる作品。
1943年。タイトルバックの紅い文字、奥で烈しく鳴っている銃声。
そのカオスのなかでふたりは略式の式を挙げ、翌朝、夫は西部戦線へと戻っていく。
とにかく、敗戦でもフェミニズムでもなく、
矜持の問題を取り上げていると思った。そして、それを支えた(自己)愛。
マリアは、ドイツ人女性としての誇りなどというものは、とうに捨てている
(捨てなければならなかった)。
一方、ヘルマンはそれに執着し、保ち続けようとする。
戦地に行ってからヘルマンは時間が止まっており、マリアは逆にどこまでも急進的。
「あなたが私と関係したのではなく、私があなたと関係したのよ。」
ヘルマンにとって、マリアは何光年も先に進んでしまっているのである。