若松孝二 そのボランタリズムの軌跡



  • 『天使の恍惚』*1(1972)
  • 『われに撃つ用意あり』*2(1990)
  • 『17歳の風景 少年は何を見たのか』*3(2005)

http://www.vstation.gr.jp/movies/mo_060929


『天使の恍惚』。かなりショッキング。
「自分の身体を張って闘えるヤツ、本気で孤立できるヤツ、個的な闘いを個的に闘える奴等、孤立した精鋭こそが世界を換える」
『われに撃つ用意あり』のキャストは原田芳雄桃井かおりはじめ錚々たるメンツ。音楽も、それぞれ山下洋輔梅津和時だし。


『天使』と繋げてみてみると、十月とか秋の20年後が克彦や律子にスライドされているし、スナックには、かつて機動隊との衝突で失った歯を最近になって治した男だとか、連れて来た生徒たちに20年前の武勇伝を語りまくる予備校講師がいる。克彦がそういった昔の同士の集う店を閉じるその日に、メイランを助けるために闘志を燃やすというもの象徴的だし、刻一刻と地図の変化する新宿に生きる彼らのそれぞれの内面が(世代的にはリアルには感情移入できないはずなのに)痛いほど伝わってきた。あと、ディランの「風に吹かれて」を斉唱するシーンとか、額に飾った顔写真を隠した克彦に津子が言う「いまさらゲバラでもあるまいし」っつーセリフとか。
岩井俊二の『スワロウテイル』なんかは明らかにこのへんの作品の影響受けてるな、と思いましたです。


17歳の風景』は、撮り方ほか正直不満多いけど。「頭に来るから俺は映画を撮る、頭に来ないと撮れない」という嘘のない、嘘っぱちを徹底的に叩き潰そうとする監督の魂に凄みを感じまくりでした。


http://www.wakamatsukoji.org/