ニートピア2010 / 中原昌也



書き出しが面白くて、ひどく引きつけられる。
しかし、その後大した展開も結末も無し…物語は途中で頓挫。
全篇、そうした定型にのっとって量産された短篇。
どれも読者が失意に落ちるのを願うようなつくり。


このなかで起こることと言ったら、素晴しくくだらないです。
そうなること最初から分かりきっているのに
読了後、なんで自分はこんなに熱心に読んだろうと、気が滅入ってくる。


"生活費を稼ぐために書きたくもないのに書いている"という
いい加減代わり映えないスタンスが本心であってもなくても
この内容と立派な装丁・値段はアンバランスだと思う。


しかし、下のような記述のために、やはり読まずにはいれない。完全に思うつぼ。
「俺はパンが好きだ!」「どんな悪人が焼いたパンであったとしても(中略)それがいま目の前にあれば、この手で掴み取って食べたい」(「中間小説」)
「お金を稼ぐというのは、そんなことでしょう? そんなものを皆さん読みたいのでしょう?」(同上)
「誰のためにもなっていない、くだらないことしかできなくて、本当にすみませんでした」(「フンペ・フンペ」)


http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/26/66/9784163266602.shtml