ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情



あの背をポスターでみて以来、気になっていた画家。


「ストランゲーゼ30番地」*1で描かれた作品の数々。
同じ部屋で、同じ女性が等しく背を向けた絵が
これでもかと並んでいる様には、唖然としてしまった。
あんなに多数描いているとは思わなかった。


なかでも、ロイヤルコペンハーゲンのパンチボウルと共に妻、静止する
「背を向けた若い女性のいる室内」。


何時でも後ろ姿の妻イーダを正面からとらえた作品が一枚だけあった。
見てはならないものを目にした気がした。
38歳とは思えぬ、疲労しきった苔色の顔。
そのおぞましい顔にも、部屋同様の愛着が宿っているようだった。


美術館の照明がジャマだった。つぎは北欧の光の中で。


「私は、常にこの部屋のような美を思っていた。たとえ人がいないとしても、
いや、正確に言えば、誰もこの部屋にいないから美しいのだろう」


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