ロルナの祈り / ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ



ダルデンヌ兄弟の映画に出てくる女性は
なんでいつもこう、強がりで無愛想なのかと思う。
稀に浮かべる満面の笑みをみて、その理由を思い出すのだが
再び仏頂面がつづくと、ああ可愛げがないと気が滅入ってしまう。
しかし見終わった後は必ず愛おしい。厳格な映画なのだ。


ベルギー国籍を得て、ソコルとバーを開く夢のため
麻薬中毒者クローディと偽装結婚をしているロルナ。
クローディは愛を乞うばかり。ロルナは(いつしか)与えるばかり。
それが"愛"かどうかは分からないし、
"崇高"なのかどうかも自分には分からなかった。
ロルナの"愛"はたしかに自己犠牲的だが、
その前に贖罪的なもので、あの結末には同情できない。
彼女のとる行動の右往左往っぷりには、苛立しか感じられない。


物語の背景(社会背景)が極端に省略されているので、
すごく非情な感想をもってしまった。
森の奥、宿ってもいない命にむかい語りかけるロルナ。
その時流れるベートーヴェンのアリエッタすら、慰め程度にしか受け止められず。
見終わった後、横たわっていたものがずっしり起き上がってきて深々考えさせられる。
もう一度みたらロルナに大分親身になれると思う作品。


オリヴィエ・グルメの出演が控えめで残念。
離婚劇の演出にと、ロルナが壁に柱に、肘や額を強打する場面は
シュールで笑ってしまった、ごめんなさい。


http://lorna.jp/