ゆきゆきて、神軍 / 原一男監督



朝の5時に妹尾・元軍曹宅をたずね部下銃殺事件を糾弾する。
半死半生の山田・元軍曹に馬乗りになり、貴様!とののしる。


奥崎謙三の思考は、アブナイ。
でも、何がふつうで常識か、という価値をこの映画は転覆する。
過去の亡霊と生きる人々のさまが、等しく映されていく所に感服。


真実を引き出すための暴力ならば辞さないとして
しかし「息子でもよかった」と引き金をひき入獄する奥崎。
彼はつねにカメラを意識しているし、ときにカメラを利用する。
ドキュメンタリー映画としてかなりギリギリの所にある。
劇映画かと思うほどどっしりした原一男の撮影は新鮮でした。


奥崎の存在感をうすめてさえいるのが、崎本さんという巫女で
強烈なキャラの持ち主。
「したら写真が動くんですね。気のせいですか 写真の顔が動くんですね」
「兄が!兄が言ってるんです!」


真相究明のためにニセ者を仕立て上げる奥崎氏にも、唖然とした。
遺族役として同伴することになった妻とアナーキスト大島氏が
眠たそうに映るツーショットは不謹慎ながらギャグ。
まじめな意味でも、もちろん傑作です。


http://www.st.rim.or.jp/~r17953/impre/Movie/OKU_1.html