クリスマス・ストーリー / アルノー・デプレシャン 監督



人がブロンズのように倒れる静止画で、みるべしと思った映画。


はじめの語りがあまりにスピーディーで、
お膳だて(影絵)の部分で、はやくも置いてかれそうになった。
ヴュイヤール家の、複雑数奇な家族もよう。


幼くして発病した長男に骨髄移植をするために、アンリをもうけ、
骨髄が適合しないとわかると、"役立たず"呼ばわり。果ては絶縁。
その過去にはあまり触れないことに、違和感あった。
マチュー・アマルリックの、あの愛嬌ある顔ゆえ、アンリの肩もちたくなってしまう。
十分嫌なやつだけど。
アンリを"追放"したパラノイア姉貴にしても、心底嫌なやつには描かれない。


互いに罪をなすり付けてるのではなくって
家族じゅうでそれを分かち合ってるような…。だから、決して醜さがない。
どんな辛辣な言葉を放つ時でも、登場人物は微笑。
ここらへんに、カントクの愛がある?


「彼、彼女らはまったく耐え難い人物ですが、とてもかわいらしい」*1


いきなり妙に現実的な医療映像が差しはさまれたり、
一時はサスペンスっぽくもあったが…そのへんが『潜水服は蝶の夢を見る』そっくり。
(ヘンテコ家族って意味では『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』)


権威主義的で偏屈そうな顔だなあと感じた父親が、実は一番できた人で、
まるで一族の母性をひとえに担って立っている気がした。
末っ子の妻が、妙にキレイで目立ってるな〜と思ったら
カトリーヌ・ドヌーブの実娘(キアラ・マストロヤンニ)でした。


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