夏時間の庭 / オリヴィエ・アサイヤス 監督



アサイヤスの作品は、ほかに「デーモンラヴァー」しか観たことないのだが、
浮世離れした話のわりに、着地点はあまりに現実的で、飛躍がないというか…
そこが、今回も腑に落ちなかった。


うっとりするばかりのオープニング。
オルセー美術館から借り受けた美術品が、小道具として生活のなかに溶け込む。
センスの良さが、すべてを凌駕している。
引き替え、人々に機微がなく、殺伐としすぎていて、げんなり。
ああ、あの緑の瑞々しさに比すれば比するほど、
途方もなく詰まらなかった…と思ってエンディングを迎えたが、
そこへ用意されたささやかな感動が、ふたつ。


孫娘と無数の未成年による、田園パーティー
あまりにお淑やかな、老家政婦 エロイーズ!
彼女が、摘んで来た花をブラックモンの花瓶に生けるシーンが一等美しい。


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