死んでも何も残さない / 中原昌也



「談話をもとに編集者が構成したもの」。
これには、ガックシ。
少なくとも、これで「著者」というのはオカシくないか。


幼少期〜暴力温泉芸者までを振り返った内容が大部分を占めるけど、
回顧を終えたあとのラスト2章が面白かった。
前者は、内容の割に、活字になってしまうとどこか冴えない感じ。


青山そだち。だけど、「貧乏」。
テキトーに見せて、大真面目。
(「ひどい」「救いがない」とか)ことごとくネガティブだけど、
人を暗い気持ちにさせない。
グダグダのなかに、妙に鋭い指摘が一定のタイミングで入ってくる。


さいごの一文、
「どうすればいいんですかね」
その相談は、ほんっとどうしょうもない話だが
この人懐っこさこそ、見倣うべき!と強烈に思いました。


わからないものはみんな偉そうで高尚なものだと思ったり、通向けのものだと思ったりする。
この貧困さは何だろう。みんな、精神が貧しくなっている。(中略)
わからないものはすべてないものにする状況は何なのか。
だから、自分の知らないことはみんな悪口をいう、僻み根性の人間ばかりもてはやされる。


今後も、物事の様式が変化することはないだろう。ずっと同じ時代が続いてゆく。
たとえば、音楽のジャンルでも、どう頑張っても新しいものなど生まれていない。ぜんぶ昔の曲と同じである。(中略)
すべてが終わったということを端的に表現しているのがノイズだ。


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