わたしを離さないで / マーク・ロマネク 監督



ガラス窓にぺたんと顔をつけて店内を見やる3ショット。
生まれて初めてハンバーガーショップに入り、
飲み物の頼み方も分からず固まった3ショット。
3人の時こそ、彼らは輝いている。
1人欠けた時、結束は解け、その世の中の残酷さが漏れ出してくる。


「医学の進歩により、1967年、人類の平均寿命は100歳を超えた」


そんなキャプションから始まるこの映画の世界観は、特異。
中で起きていることはグロテスクなのに、描かれ方は美しいばかりだから、
余計にこわい。


生まれながらに運命が決められている(と教育された)彼らは、それに抗うことができない。
彼らの夭折は美しくはあっても、その美にどれだけの意味があるのだろう。


生みの親の愛情も、ヒューマニズムも、存在しないのに
何よりもそれを扱っている。カズオ・イシグロ


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