プレイタイム / ジャック・タチ 監督



これまでフランス映画をみて、これが彼らの言う博愛か!と唸ったことは
そうなかった気がするが、ここにはそれが溢れている。


タチが自演するユロ氏は、温厚で善人であるけれども、ちょっと愚かで滑稽。
これは、彼に限ったことではなく
大銀行家も、はりぼてナイトクラブの支配人も、それを設計したイカサマ建築家も、
職人も、ショーでギターを弾く黒人のバンドマンも。
あらゆる人が交通渋滞の車、交通そのもののように街を流れていて
数え切れないほどの無名の人々の生活が、
まるでループゴールドマシンのように、映画の運動をささえてる。
おどろくほど豊かな映画です!


制作費15億フランというのは、にわかには信じ難い話だけど、
この映画のためにタチが破産したというのには何となく頷ける。
(映画のために建設したタチ・ヴィレッジ。白樺派にとっての美しき村みたいなもの?)


“鬼畜”ラース・フォン・トリアーでさえ、この映画の影響下にある気がする。


http://www.jacquestati.net/