蝶の舌 / ホセ・ルイス・クエルダ



棺桶にさえ入れてほしい思い入れの一本。セザンヌのように濃密な光、蠅や埃も写り込んでるレアリズム。
スペイン内戦下。愛犬の吠える声に昂奮を得て行為におよぶ商売女と、その犬を疎ましく思い殺害する男。
狼に襲われ声を失った人妻の中国女と恋に落ち、はじめて魅惑的なサックスを奏でる兄。
そうしたすべてが、少年から青年へと巣立とうとするモンチョの目を透過して映される。
連行されるグレゴリオ先生に向かって石を投げながら「アカ、アテオ」「ティロノリンコ、蝶の舌」って叫ぶラストは圧巻!