太陽 / アレクサンドル・ソクーロフ



乗っけから、パイと刺身(?)をおなじ皿で食している天皇ヒロヒトが映し出されて肩すかしを食らう。
そこから淡々と、昭和天皇プライヴェートが描かれてく。イッセーさん、あんたすごいよ。
前半の重苦しい密室劇とシンメトリーを成すように、この映画は70分あたりから、グンと加速する。
それは、日本が敗戦をむかえ、マッカーサー天皇にチョコのプレゼントを贈ったときだし、
現人神ヒロヒトが自分の神格から解放され、人間として活き活きとしてくるときなんですね。


というかここら辺からシルクハットを被った小柄な男性は、天皇ヒロヒトというよりも、半ば喜劇王イッセー尾形である。
その姿はあまりにも滑稽。だけど、この映画に悪意は全くと言っていいほど無いし、むしろ真摯なまなざしさえもってる。
ここがこの作品のもうひとつの凄さだと思います。

マッカーサーヒロヒトと会談したとき「彼は誰かに似ている」と呟くけれども。
米軍のカメラマンたちは、薔薇の花の前でサービス精神旺盛な陛下を前についに言ってしまう。「○◯のようだ」と…。
ここの瞬間で、ああ、やっぱりこの映画はどんなに日本が嫌いな日本人でも撮れない映画だなと思いました。
とにかく、ソクーロフは鬼才であります。


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