悪魔とダニエル・ジョンストン



でっかいダダッ子。そんな形容詞がよく似合っちゃうダニエルおじさんの、狂気と愛らしさ満載の映画。
このドキュメンタリーが稀有なのは、回想される出来事が、ことごとく当時の映像とか音声で描かれてるって点。
それは実際おどろくべきことなんだけど、ダニエル本人の偏執狂的なまでの記録癖によるところが大きいんですね。
母親との口論のときも、自由の女神に落書きして逮捕されたときも、彼は隠し持ったテープレコーダーを回していたんである。
「悪魔がくる。サタンが…666が…」って叫ぶ音声とか、あまりにも生々しいし、狂気に満ちてる。


クリスマスツリーに「9」の文字とかビートルズを飾ったことを咎めた兄貴に殴り掛かって骨を折らせたときの映像もあって、
このおっちゃん、フカフカな顔して怖い人だと思う。でも躁鬱からも驚くほど回復した現在の姿は、でっかいアイドル。
彼をマネージメントしつづける父ビルはもう若くないし、そのうちいなくなってしまうかも知れない。
でも彼の散らかり放しな部屋も、「君の写真はいまでも壁に飾ってあるよ」って唄い続けるローリーへの愛も、永遠なんだね。
「ぼくにとって、音楽は心の額縁なんだ。」


http://www.akuma-daniel.com/