おーる そくーろふ。
ロシア映画における父親ってのはホント興味深い。入りのシーンからかなりキケンかと思いきや、
始終上半身裸の、帝王みたいに巨大な父親は、意外なほどつややかな肌で優しく、ときに母性的。
何よりポルトガルがロケ地というあの幻のような架空の町がもうすばらしすぎた。
屋根にある広場から見えるのは直下の海。ここでの映像が失神しそうになった。
「父の愛は十字架にかけること、息子の十字架にかけられること」
『モレク神』は、『太陽』同様嗅覚の用い方がうまい。妄想狂のようなヒトラーはもとより、
愛人エバのシーンが諸々印象的。ソクーロフ映画の不思議に処理された音楽はここでも。
マルティンとかゲッベルスの描き方に至っては、もう完全にギャグですよ。
あとの二つはかなり心地よい眠りを与えてくれたけど、
『マザー、サン』冒頭の絵画が動き出したかのような母子の画は、畏ろしいほど美しかったです。