ミスター・ロンリー / ハーモニー・コリン



マイケル・ジャクソンマリリン・モンローが恋におちる映画。
しかもそれに嫉妬するチャップリンが結構悪どいというお話。


彼らに加え、マドンナやジェームス・ディーン、エリザベス女王らが同じ城で暮らしている。
もうこれだけでも素敵だと思うのに、たとえば空色の尼たちがスカイダイブしたり・・・
息つく暇ないくらい魅惑的でした。


独りの男がぬいぐるみの猿とポケットバイクで疾走しているだけのオープニング。
その映像とBobby Vintonの歌声が、何遍も繰り返しつねに頭のなかで流れていた。
たぶんやりたかったからやっただけのこの映像がここまで全編通して効いてるなんて。
イメージ先行で脚本は「言葉の羅列でしかない」と監督は言うけれど、
すごく自然なかたちで意味とか寓意が生まれていく、この映画の無垢はつよい。
突拍子ない風なふたつの物語がさいごまで交わることなく、
しかし実は同一のテーマを共有しているという構成も面白いと思った。


自分と性格の重なる主人公は、ふつうどこかで嫌気のさしてしまうものだけど、
不器用なマイケルも、モンロー(サマンサ・モートンが輝いていた)も最後まで愛おしかった。
社会から孤立した、しかもネバーランドの住人のような人々を一貫して描いてきた
ハーモニー作品のなかで、驚くほどポジティブ。
夢のなかで生きる彼らの物語、その途中で楔のように打ち込まれる残酷さがまた、効いてます。


映画監督がふたりも出演、衣装がアニエスベーだったり、クリス・カニンガムも参加していたりと
何だか映画の向こう側にもう一つのユートピア、共同体の物語がみえるよう。


http://misterlonely.gyao.jp/