ミンガス Charles Mingus 1969 / トーマス・ライヒマン 監督



ミンガスは、とにかく怒っている。
不法入居者扱いされ、退去命令を出されているのだという。
(そして、翌朝警察がやってきて、連行されてしまう。)


ライフルをカメラに見せつけ、自分のアパートメントの中でぶっ放す。
相手方の娘を誘拐してやる、と息巻く。
愛娘(まだ子供も、子供)に酒をのませる。
用心ならないから、俺はいつもこうしてるさ、と言いながら、激しく釘を打ち付けて窓を施錠する。
「床にタイプライターを置いたのは、誰だ? まったく、傷つくぜ」
と呟いときながら、そのタイプライターを、えっ壊れてしまう…ってくらい乱暴に机に置く。


画面に映るのは、狂人の姿である。
そこへ、まったく寸分の狂いもない演奏シーンが挿入される。
まず、このコントラスト。
ピントが合ったり合わなかったりするモノクロ映像。これが、またカッコいい。
ドラマーのカフスだけが大写しになるあの十数秒は、あまりに感動的。
(菊地さんの解説によると、ボタンのR=ダニー・リッチモンドとのこと)


座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルにて。
仕事後ダッシュで直行したものの、空席なし…諦めきれず懇願して、入れていただく。
この映画がスクリーンで上映されることは、後にも先にも無いかも知れぬ。
事務局の人がこの日のためにつけたという字幕も、秀逸。
さいしょから見れなかったことだけが・・・心残り。


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