冷たい熱帯魚 / 園子温 監督



今回も、園監督はすべてにおいて過剰だ。
愛のむきだし」ほどではないが、確実に、トラウマ映画となった。


こんな空恐ろしいことがあろうか…という不可解さ(非現実感)。
一方で、観客は映画が事実に基づいていることを知っているし、
気付けば、社本、そして極悪人・村田にさえ感情移入してしまっている。


背徳感と、スリル?
この両面性。まるでこの映画自体、ネバネバとした半透膜のように作用しているよう?
あと、あの血糊。
園監督は、わざわざあんなにウソっぽい血にしてるんじゃないか…とか。
ホラー大嫌いな自分にも、おっかなビックリ楽してめてしまう魔の映画。


でんでん(名演技!)が怖い。ホント怖いんだけど、
ともすると、人肉を切り刻んでいる彼が、一瞬、人のいい肉屋のおじさんにすら見えるのだ。


幻の魚に巨額を投資させて、その出資者の「ボデーを透明にする」。
一連の犯行が、カルト宗教のように描かれていく様が面白かった。
人がどんどん村田を信奉するようになり、
村田夫妻は、山小屋の、傾いた十字架、爛れたマリア像の前で、おぞましい儀式を繰り返す。


ラスト、社本は「生きるっていうのはな…」と娘に向かって言う。
あれだけの地獄を味わってきて、それだけですか?ってゆう
すごくプリミティブな回答で、幕を閉じるのです。
納得いかないのは、そのラストと、妙子の設定のみ。


ダンサー・イン・ザ・ダーク」なみに、エグイ…。にもかかわらず
今回もエログロ+笑えるのが、いいなと思いました。


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