カルロス / オリヴィエ・アサイヤス 監督



作戦は、失敗するばかりである。
空港のデッキから、旅客機めがけて、あんな肩のせミサイルで
当たるのかしら…と思ったら、案の定失敗。


OPEC本部襲撃では、自らのミスによりカダフィの怒りをかい、
ウィーン→アルジェ→トリポリチュニス→アルジェと
乗っ取ったはずのオーストリア政府機で、空港をたらい回しに…
(あの機内シーンは、「デーモンラヴァー」の数百倍リアルに撮れてる!)


そういった失態ばかりが描かれる一方、
そのカッコ悪さをひとえに補うのは、エドガー・ラミレスの男前だ。
そこへ、2部からはマグダレーナ・コップ役の美貌が加わり、ワクワク見れた。


彼は、革命に夢中になっていたのか、愛に溺れていたのか…
うむ、そのどちらにも溺れていたのだろうという結論に至るしかないほどの
時間を割かれる愛の描写。
フランス映画のちょっと行き過ぎた(?)甘美さ、というのを差し引いても
ああやって、
残忍なテロリストの人間らしい日常をいっぱい描いたのは、良いと思った。


打倒したはずの資本主義、それがミイラ取りがミイラになっていく…。
某国から庇護を受け、また別の国家から資金援助を受け、という…
もはや、カルロスは資本主義そのものであり、金で動く殺し屋でしかない。


3部は、事実を淡々となぞり、速やかに物語をまとめようという
駆け足感が否めず。
そのなかで、やっぱりエドガー・ラミレスはすごかった。


ゴッドファーザー」最終章での、
パチーノの顔のヨボヨボ具合といえば、特殊メイクが明白で
気色わるいという印象しか残さなかったが、
うらぶれて、ブテブテに肥えたメタボおやじを演じるのは、
1部で、鏡にうつった自分のペニスにナルシスティックな笑みを浮かべる
シャープな戦士と同じ、その俳優である。
この役作りに、感服。


くわえて、Nora von Waldsttten の黒髪!


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