コブラ・ヴェルデ 緑の蛇 / ヴェルナー・ヘルツォーク 監督



山賊から奴隷商人に、そしてアフリカ総督に…。


キンスキーの狂気、というのはわりと薄い気がした。
彼の発するもの凄い孤立感、悲哀というのが勝っている気がする。
なにせ、ダメオーのあの島に
白人は、金髪のフランシスコ・マヌエルと、デタラメな司祭だけ。
完全にマイノリティーなのである。


おろかしい農園主の妾たちは間違いなく上質な暮らしを送っている。娘たちは笑い、
搾取されているはずの奴隷たちでさえも踊り、歌い、生を謳歌しているようである。
ヘルツォークでこそ、の世界感。


おっとせいと人間の混血のような、四つ足の黒人。
奴隷制廃止後、その亡霊に追われつつ、波打ち際で果てるキンスキーの演技は
たしかに神々しい。